【一覧表でよくわかる】老人ホーム12種類の特徴や費用・選び方のポイント、よくある質問
この記事の目次
【一覧表でわかりやすく老人ホーム12種類】 民間系6施設/公共系6施設
まず、老人ホームは
・民間系施設
・公共系施設
と2つに大別されます。
入居者の介護度やかかる費用などによって、種類や特徴が変わります。ここではざっくりと特徴を把握しておきましょう。
民間系6施設の種類ごとの特徴
民間系施設は、一時金の有無、家賃設定、食費などの入居に関わる費用は、民間の事業者それぞれが設定しています。
費用を抑えたところもあれば、ハイグレードなしつらえで高級感のある施設にしているところもあり、個別性が強くなっています。
従って、入居にかけられる費用やお体の状況に応じて入居先を選べるという大きな特徴があります。
一般に民間系施設は、サービスが充実しているというメリットがある一方、公共系施設と比較し費用が高くなるというデメリットがある、ということができます。
上記の一覧表にもある通り、民間系の老人ホームは大きく、6種類に分けられます。
・介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・グループホーム
・シニア向け分譲マンション
‐1)介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)
ホームの専門スタッフによる24時間体制の包括的介護が提供されることが大きな特徴です。
ホームごとに特色を打ち出していて、例えば
・高級感のあるしつらえ・設備
・医療対応
・認知症対応
といった特色を打ち出しているホームが多くなってきています。
介護の費用は、介護度に応じて定額制であるため、月々の支出イメージがつきやすくなっています。
自立の方でも入居できるホームがありますが、本来自分でできることをホーム側がすることになる、という意味では、余計に費用が掛かりやすい面があり、その点はデメリットと言えます。
入居に際して一時金が必要なホームと不要なホームがあります。
一時金が0の場合はその分、月額費用で上乗せされる仕組みです。
月額費用については、家賃や管理費に相当するもの、食費に相当するもの、介護に相当するものなどの合計が月額費用になっています。
介護にとどまらず、サービス面でも一番充実したホームが介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)といえます。
‐2)住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立の方から重度の要介護の方まで、組み合わせる介護サービスによって守備範囲が広くとれる形態のホームになります。その選択できる自由度が大きな特徴です。
例えば、自立のような介護が必要のない段階では、介護をつけず、介護度が進んだ段階では、必要な介護を選択できる、という自由度のことです。
ただし、ホームによっては、介護度が重度の方が入居できないところもあるため、注意が必要です。
基本的なサービスとしては、食事や健康管理といった生活支援サービスが付いてきます。
それぞれのホームの特徴をよく把握して入居することが大切です。
‐3)健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、その名の通り、健康で介護の必要がなく自立した生活が送れる高齢者を対象としたホームです。
さまざまなコミュニティが形成されていることが多く、同じ趣味をもった方々と元気に楽しく生活したいアクティブシニアが入居しています。また設備面でも充実していて、温泉やジム、ビリヤードなどの設備があるホームもあります。
しかしながら、まだそのようなホームは少ないのが現状です。
‐4)サービス付き高齢者向け住宅(略称:サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住【さこうじゅう】)は、高齢者向けに配慮された構造や設備、バリアフリーなどの一定のハード面を備え、「状況把握(安否確認)」「生活相談」といったソフト面のサービスを付けた賃貸住宅です。
基本的な性格は高齢者のための住居、賃貸住宅です。
サ高住は、一般的に介護度の低い高齢者を対象としている、と説明されることがありますが、住宅型有料老人ホーム同様、必要な介護サービスを組み合わせて利用すれば、比較的重度の介護の方でも対応が可能です。
またサ高住は、一部の介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)のように一時金制度はなく、賃貸住宅ですので「賃料の〇ヶ月の敷金」で入居できるという点で初期コストを比較的低くおさえることができるメリットがあります。一般に賃料の2~3か月の敷金というサ高住が多いです。
‐5)グループホーム
グループホームは、認知症対応型共同生活介護といって、認知症のため介護を必要とする人が対象です。
少人数の家庭的な雰囲気の中での共同生活を通じて、できるだけ自立した生活を営むことができるよう、日常生活上の支援や機能訓練などのサービスを行います。
介護度としては、要支援2~となっています。
認知症対応型共同生活介護は、地域密着型サービスに位置付けられており、住民票のある市町村に所在するグループホームを利用することになります。
‐6)シニア向け分譲住宅
シニア向け分譲マンションは、「分譲」ということで所有権のあるマンションであるため、厳密には老人ホームではない。一部賃貸もある。自立している方もしくは介護度が比較的軽い方のための住まいです。
温泉付きの大浴場があったプールが付いているなど、設備が充実し、比較的高級感のあるものが多いです。
介護が必要になった場合は、入居者自身がが部の介護サービス事業者と契約して介護サービスを受けることになる。自由度の高い生活が送れます。
シニア向け分譲マンションという形態の物件自体の流通量が少ないためか、不動産事業者が慣れておらず、売却・賃貸をしにくいというデメリットもあります。
公共系6施設の種類ごとの特徴
公共系施設というのは、地方公共団体が管轄し、主に社会福祉法人、医療法人等が運営するものです。
社会福祉の見地に基づき、介護度が重度の方や低所得者層の保護を主眼とし、在宅介護が困難な方を優先的に受け入れる傾向になっています。
一般に入居待ち(待機者)が多く、
公共系施設は大きく6施設に大別されます。
・特別養護老人ホーム(特養)
・介護老人保健施設
・介護療養型老人保健施設
・介護医療院
・シルバーハウジング
・ケアハウス
‐7)特別養護老人ホーム(特養)
基本的な性格としては、要介護高齢者のための生活施設です。
老人福祉法第20条の5によれば、
「65歳以上のものであって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものを入所させ、擁護することを目的とする施設」
と定義されています。
‐8)介護老人保健施設(従来型老健)
基本的な性格は、要介護高齢者にリハビリ等を提供し、在宅復帰を目指す施設となっています。
要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び、機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設となっています。
‐9)介護療養型老人保健施設(新型老健)
介護療養型老人保健施設は、入院するほど症状は重くないが、痰(たん)の吸引や経管栄養など常時必要な一定の医療ケアと、夜間介護など比較的手厚い介護を必要とする高齢者が対象となってます。
‐10)介護医療院(介護療養型医療施設)
介護医療院(介護療養型医療施設)は、2018年4月に創設されました。
医師や看護師が常駐し、痰(たん)の吸引や経管栄養といった医療と日常生活上の世話(介護)が必要な高齢者が在宅復帰をするための施設。
長期療養も可能で、看取りやターミナルケアも行っており、終の棲家としても考えることができる施設です。
デメリットとしては、相部屋であることが一般的で、プライバシーの確保は難しい面があります。
‐11)シルバーハウジング
シルバーハウジングは、自立した高齢者及び障碍者世帯が対象になります。住宅の供給主体としては自治体や都市再生機構、住宅供給公社です。入居には所得制限があります。
バリアフリー化されており、緊急通報装置や見守りセンサーといったハード面の緊急時対応サービスがついています。
また生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による「安否確認」「生活相談」といったソフト面のサービスもついていますが、
介護が必要になった際には、別途介護サービスの契約が必要になります。介護サービスを利用しながらも食事やトイレは自分でできるといった自立した生活ができることが入居の条件になります。
‐12)ケアハウス
ケアハウスには、自立型と介護型があり、どちらも費用はリーズナブルであることが大きな特徴になっています。
自立型は、自立から要介護の方、介護型は要介護1~であることが入居の条件になります。
自立型は、健康状態に問題はないが、身寄りなどがなく、自立した生活に不安があるという方を対象としています。要介護度が重い場合は入居を断られる場合もあります。
介護型は、介護スタッフによって介護サービスが提供されます。(「特定施設入居者生活介護」)要介護度が上がっても住み続けることができ、看取りまでしてくれるところもあります。
老人ホーム12種類の月額相場から考える老人ホームの選び方
費用相場については
・民間系よりも公共系施設の方が安い
・一時金についても民間系が0~数千万円のところがる一方、公共系は0~数十万円程度が多い
ということで、費用については、公共系に軍配が上がります。
しかしながら、入居待ちに時間がかかるデメリットがあります。
‐ 介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)が比較的高額である理由
介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)の特徴として
・24時間365日の専門スタッフによる包括的介護サービスがついている
という点があげられます。
他に施設のしつらえや設備の充実といった点も費用がかかるポイントになります。
居住空間に加え、介護を含めたサービス面も充実しています。
様々なニーズに応えることができ、それがコストに反映しているホームの形態が介護付き有料老人ホームである、といっていいでしょう。
現時点で、そこまで充実したサービスは不要だ、ということであれば、必要な介護サービスをつけることのできる、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を選び、いよいよ24時間365日の包括的介護が必要になった段階で介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)に住み替える、といった選択肢をもっておくことも一つの方法と言えるでしょう。
‐ 住宅型有料老人ホームは、要介護度が進んだときに注意が必要
住宅型有料老人ホームを利用する場合、通常外部の介護保険サービスを利用します。
コスト視点でみた場合に、必要な介護サービスを必要なだけ利用できるという点で、介護度が低いことは有利ですが、目安として要介護3よりも重度になった場合は、介護サービス費用がかさんでしまう可能性があります。その際は、24時間365日の包括的介護がついてくる介護付き有料老人ホームの方がコストメリットがあるかもしれません。
‐ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、費用面で有利
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、介護付き有料老人ホームのような一時金を入居時に支払うことはなく、一般に家賃の2~3か月程度の敷金で済む場合がほとんどです。敷金ですので、退去時にお部屋を故意に汚したりしていなければ、返還されるので、コスト面のリスクが小さいのがサ高住のメリットと言っていいでしょう。
入居条件から考える老人ホームの選び方
‐ 介護度ごとに受け入れ可能な老人ホームとは
介護度によって、入れる施設は変わってきます。
■自立の方が入居するものとしては
・介護付き有料老人ホーム(ホームによる)
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・シルバーハウジング
・(一部の)ケアハウス
になります。
■介護を必要とする方が入居できるものとしては
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・以上に加え、ほとんどの公共系施設が要介護の方向けのホームとなります。
‐ 認知症の方が入居できる老人ホームとは
上記の表にある通り、認知症の方が入居できるホームとしては、
・介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型老人保健施設
・介護医療院
・ケアハウス
などがあげられます。
ただし、公共系の特別養護老人ホームは入居待ち期間が長いため、他の老人ホーム、例えば、グループホームなどを探すことになることが多いです。
グループホームは地域密着型サービスに位置付けられているため、住民票がある自治体の中にあるグループホームに入居することになります。
費用や介護度に応じたぴったりな選択肢はどの老人ホームなのか
‐ 自立した生活を継続したい人
・サービス付き高齢者向け住宅
などがあげられます。
付いているサービスとして「安否確認」「生活相談」があります。
サ高住は、賃貸住宅であるため、個室でプライバシーが守られ、ご自身のリズムで生活を送ることができます。介護が必要になったときは、外部の介護サービスを別途契約して利用することができるという点では、将来の介護の不安も含めて引き受けてくれるホームが、サ高住であるといっていいでしょう。
‐ 現時点に必要な介護を必要なだけ受けたい人は
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
があげられます。
いずれも自由度の高い生活ができる住宅です。必要に応じて介護サービスを組み合わせることができます。
「住宅」ですので、プライバシーが確保されます。
‐ 介護度が重くなってきた人には
・介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)
があげられます。
24時間365日の包括的介護を受けることができます。介護の負担が重くなってきても対応してもらえます。
また、認知症や看取りも対応できるホームがほとんどです。
費用がかかる分手厚い介護が受けられ、安心して住み続けることができます。しかもその費用は定額で、安心です。
‐ 認知症の方には
民間系でしたら
・介護付き有料老人ホーム(介護付きホーム)
・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
があげられます。
認知症の初期で比較的軽度の方であれば、
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
公共系でしたら
・特別養護老人ホーム
・介護医療院
などが受け入れています。
最近は、認知症に特化したプログラムを展開していたり、認知症の方に特化したフロアでスタッフがケアしやすい環境を整備していたりする施設もあります。
老人ホーム選びのポイント
通常、老人ホームを探すとなると、ホームページで情報収集をしたり、現地に直接訪問してホームのカタログ・リーフレットを入手し、比較検討を始めてしまいがちです。それでは、闇夜に鉄砲を撃つようなもので的に当てるのに時間がかかるというものです。
情報収集をする前に、上記の①~③をまずは、明確にしておくことが肝要です。明確にです。これがなかなかできないと老人ホーム探しは迷走してしまいます。
① 入居の目的・理由を明確にする
例えば、ご家族が現役世代でお仕事をされている場合、「あと2年で退職をするからこの2年だけ親にはホームに入居してもらい、退職後は自分で親の介護をするつもりだ」そんな状況のご家族と、「最後の看取りまで、ホームにお願いしたい」というご家族とでは入居の目的・理由は当然変わってきます。かかる費用も変わり、当然導き出されるホームも変わってきます。ここをまずは明確にしましょう。
② 予算の目安を立てる
貯えがどのくらいあって、年金が月額換算でいくらあって、向こう〇年間入居する、という目算を立てたうえで必要な額を算出します。仮でも〇年間入居するということを決めて算出していく必要があります。
③ 条件の優先順位を決める
ある方は、「結婚してこの方、妻に苦労をかけてきた。認知症になった妻のそばにできるだけいてあげて極力自分も面倒をみてあげたい」ということで、最優先の条件として2人部屋のご入居を希望されました。ある方は、要介護4の妻を介護する老々介護で、「もうこれ以上自分が面倒をみていては共倒れしてしまうから、同じホーム内の別々のお部屋で探してほしい」といった条件を優先されました。
当然探すホーム、探すお部屋は変わってくることになります。
①~③が明確になっていない段階で個別のホーム探しを始めてしまうのは、的が決まっていないのに的を探しに行ってしまうようなものです。パンフレットを取り寄せたりするのは、この段階を経てからはじめてもいいのです。
しかしながら、①~③のプロセスは、介護に直面したご本人様、ご家族様にとって意外と整理できないものだと思われます。ここは経験のある介護のエキスパートに相談されることをお勧めします。
絞り込んだうえで、⑤の見学のステップに進みます。文字情報だけに頼らずご自身の五感で感じる情報をもって最終判断をすることになります。
よくあるご質問
Q : 夫婦で入居できるところはありますか?
あります。数が少ないので、夫婦部屋の空きがあるときは、すぐに見学に行きましょう!
Q : 自立(介護は不要)でも、入居できますか?
できます。ふさわしいホームを紹介いたしますので、ご相談ください。
元気なうちから入居して、仲間ができ、楽しみながら充実した生活を送れるホームがあります。
Q : 認知症高齢者ですが、入居できるホームはありますか?
あります。心身のご状況、日常生活の自立度に応じて、ふさわしいホームがありますので、ご相談ください。
Q : 医療面の対応が必要ですが、入居できますか?
ホームや施設によって、対応の幅が大きく変わってくるポイントです。
医療側とホーム側とよくすり合わせが必要です。この面でもサポートしていますのでご相談ください。
Q : リハビリができるホームはありますか?
理学療法士(OT)・作業療法士(PT)といった専門職がいる、リハビリに特徴をもたせたホームができています。
ご相談ください。
Q : 退去を求められることはありますか?
月額利用料を滞納したり、他の入居者やスタッフへの迷惑行為があったときには、退去を促されることがあります。
Q : 入居前に体験入居はできますか?
宿泊日数に応じた費用がかかりますが、多くのホームで可能です。
しかしながら、コロナ対応でできない場合もありますので、ご相談ください。
まとめ
以上、老人ホームの特徴や費用・選び方のポイント、よくある質問について紹介してきましたがいかがでしたか?
各ホームによって特徴があり、対象となる入居者が異なりますので、ご自身の希望や条件によってふさわしいホーム選びをすることが大切になります。
ぴったりのホーム探しのサポートをしていますので、
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